廃駅ミュージアムダウンロード

廃駅ミュージアム

によって 笹田 昌宏


4.2 5つ星のうち(3人の読者)

廃駅ミュージアムダウンロード - 内容紹介駅を、独り占めできるのは、廃駅だけ…? 車両の保存活動で知られる著者が探訪した全国の廃駅の記録。 廃線写真の第一人者、丸田祥三氏撮り下ろし廃駅写真収録。 保存された駅、荒れた駅、忘れられた駅。 ひとり静かに佇める、列車も乗客も来ない駅。 廃止された後にたどった時間は、駅それぞれ。 全国の廃駅を巡って感じた表情を集めた「ミュージアム」を作りました。 【目次】 ■PART1北海道 天北線・興浜北線・深名線・ちほく高原鉄道ふるさと銀河線・ 相生線・別海村営軌道・士幌線・広尾線・富内線・夕張鉄道・ 幌内線・万字線・三菱鉱業美唄鉄道・胆振線ほか ■PART2東北 下北交通・大間線(未成線)・南部縦貫鉄道・岩手開発鉄道・小坂製錬小坂線・ 岩泉線・山形交通高畠線・庄内交通湯野浜線・白棚線・福島交通飯坂東線ほか ■PART3関東・中部 ・東野鉄道・九十九里鉄道・新潟交通・越後交通長岡線・池田鉄道・上田交通・ 長野電鉄・善光寺白馬電鉄・のと鉄道・尾小屋鉄道・名古屋鉄道三河線ほか ■PART4近畿・中国・四国 柳ヶ瀬線・江若鉄道・鍛冶屋線・同和鉱業片上鉄道・下津井電鉄・井笠鉄道・ 倉吉線・大社線・一畑電気鉄道広瀬線・可部線・船木鉄道・長門鉄道・高徳線ほか ■PART5九州 漆生線・上山田線・筑肥線・島原鉄道・雲仙鉄道・山野線 ・宮之城線・志布志線・大隅線・日豊本線・鹿児島交通ほか内容(「BOOK」データベースより)鉄道が廃止になるとき、人は駅を残そうとする。車両とともに、鉄道があったよすがとして。他の用途に転活用して。モニュメントとして。いくつかは忘れられ、傷み、やがて解体される。あるいは、土の中に埋もれていく。車両の保存活動で知られる著者が探訪した全国の廃駅の記録。丸田祥三氏撮り下ろし廃駅写真収録。著者について医師・作家。鉄道車両の保存ボランティア団体「ふるさと鉄道保存協会」二代目理事長として、全国の保存施設に携わる。現在は廃止になった駅のミュージアムを岩手県の廃止駅にて構想中。『「ボロ貨車」博物館、出発進行!』『保存車大全』『ダルマ駅へ行こう』他著書多数。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)笹田/昌宏 1971年大阪府生まれ。医師、作家。第10回旅のノンフィクション大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

廃駅ミュージアムの詳細

本のタイトル : 廃駅ミュージアム
作者 : 笹田 昌宏
ISBN-10 : 4408111503
発売日 : 2015/7/17
カテゴリ : 本
ファイルサイズ : 29.09 (現在のサーバー速度は26.78 Mbpsです
以下は 廃駅ミュージアム の最も正直なレビューです。 この本を読んだり購入したりする場合は、これを検討してください。
医師であり、趣味の鉄道に関する著作も多くある笹田昌宏 (1971-)氏による「廃駅ミュージアム」と題した一冊。写真集であり、写真付き解説本的な部分もある。カラーページと白黒ページの混合で、全国各地の廃駅の「今」の姿が紹介されている。また、廃墟写真家としても著名な丸田祥三(1964-)氏による写真が巻頭を飾る。私の住んでいる北海道には、私鉄線、国鉄線を含め、無数と言っていいくらいの廃駅がある。それらの総数は、現役の駅を軽く凌駕するくらいだ。また、現役線であっても、続々と駅が廃止されている。2016年3月中にも、根室線、石北線、函館線、石勝線で、それぞれ1~4駅が廃止となる。70年代の時刻表を見ると、廃止された路線の多さとともに、例えば石北線の上川-留辺蘂間など、当時存在した駅の多くが鬼籍に入っていることがわかる。その割合は、当該区間の場合、この3月をもって5割を越えることになる。そもそも、国鉄再建化の名目で行われた民営化という手法に、北海道に関しては相当な無理があった。交通という地方を支えるインフラを、他の付加価値から切り離して、単独の収支だけを目安とする手法がいびつで不合理なものだったのだ。地方線の廃止は、地方の過疎化に拍車をかけ、その結果、他の幹線の利用者まで減少するという負のスパイラルに陥り、地方は惨澹たる状況だ。国鉄再建化法の下、廃止対象とされた路線以外にも廃止の触手は延びる。運営する会社も、いかに自治体や国から補助金を得るかの口実を探すことに一生懸命。魅力的な列車を走らせたり、利便性の高い駅を設置したりする経営努力も、「自治体負担ありき」で開き直り、開発もすすまない。その上、自治体側の理解も低い。そのような状況だから、鉄道に乗るのが好きな私も、乗る機会が増えているとは言い難い。魅力的な路線や駅が続々と消えていく状況で、それでも、もちろん残った路線に乗るのは楽しいが、そこには痛々しい切なさが同居するようになった。そんな痛々しさを緩和するように廃駅を巡る様になった。私の場合、自分自身がかつて乗った路線や乗りたかったけどついに乗る機会に巡り会えなかった路線への思いとともに、私の父が70年代に蒸気機関車などの撮影に訪れていた各地への思いがあって、廃駅や路線跡を訪ねることになる。しかし、廃駅というのは、そう都合よく残っていてはくれない。周辺管理の面から撤去され、あっさりと更地になり、荒野へと戻っていくものがザラだ。自分が幼少のころおとずれた駅に想い出の痕跡を探そうと思って再訪しても、がっかりさせられることが多い。あまりにも何もないから。しかし、本書には、幸いにもその痕跡を最近まで伝える駅たちが紹介されている。駅の中には、地元の人たちの愛情により、なんらかの形で保存されているものもある。また、単に撤去の必要がないという後ろ向きな理由によって痕跡を残しているものもある。その双方が、本書では紹介されている。いずれにしても、私は鉄道に乗るとともに、そういった駅たちを訪ねることを始めた。廃駅には列車で行くのは難しい場合が多く、そうなると、どうしても車で出かけてしまうので、列車にのる頻度が下がってしまうのだけれど、そこは痛しかゆしである。そんな私にとって、本書は、廃駅たちの、かなり新しい状況を伝えてくれる手引きとしても、とても有用なものだと思う。旅情と郷愁を誘う美しい写真集である、というだけでなく、旅の案内書でもある。本書に取り上げられている駅から、いくつか私にとって感慨深い駅を紹介しよう。胆振線の蟠渓駅は、廃止2年前に列車で来たことがある。曲線状のホームが印象的な、長流川の渓流に近い駅。集落から階段を上がったところにそのホームはあった。そして、今も、そのホームが静かに佇んでいるのを見ることができる。標津線の奥行臼駅は、開拓に功績のあった駅として、別海町によって保存されていて、すぐ近くには別海町営殖民軌道のDL機関車と自走客車も静態保存されていて素晴らしい。ぜひとも訪れるべき施設となっている。幌内線の唐松駅、万字線の朝日駅なども良好に保存され、最近では空知地方の産炭地を舞台にしたアート展の会場などにも利用されていて、廃駅の利用形態の一つとして、望ましいものを示してくれている。また、深名線の鷹泊、政和、沼牛、添牛内といった駅たちは、廃止からまだ20年しか経っていないことや、付近の人口密度が低いこともあって、まだその雰囲気を色濃く残しており、駅舎も別の目的で利用される形で残っている。しかし、毎年の豪雪を経るごとに、痛みは増しており、興味のある人は、是非とも早くに訪問することをオススメしたい。美幸線の終着だった仁宇布駅跡は、駅舎は残っていないが、仁宇布駅から線路約5km分が保存されていて、観光客がエンジン付きの自走カートで走れる施設となっている。私も乗ったことがあるが、緑の中、いくつもの渓流を越えて走るのはとても清々しく、気持ち良かった。これも好ましい利用例の一つに違いない。それにしても、北海道の場合、無数と思える廃駅のリストは、旅情や過去への思いを誘う一方で、この地の厳しさをも強く印象付けるものである。しかも、いま現在、日高線が見通しのたたない不通状態となっている。私個人的な思い入れによって、日高線が復旧するまでは、限られた経営資源を浪費する北海道新幹線など、利用しない、と誓う。

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